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展覧会レポート
2021.08.13

第72回毎日書道展レポート(1)

第72回毎日書道展が国立新美術館・東京都美術館において7月8日~8月1日の会期で開催されました。

昨年はコロナで中止となり、今年も異例の緊急事態宣言下での開催となりました。このため会場は訪問客が少なく、閑散としていました。

 審査部でのサポートと玄海誌掲載のための写真撮影他とで会場を訪れ、感じた内容を書いてみます。

 例年公募展の審査は、密閉・隔離した部屋で行われていましたが、今回は高い天井と開け放された扉というオープンな環境で行われました。さらに審査の先生方やサポートされる参加者は、事前に抗体検査で陰性を確認するという手段をとられたようです。
 密にならないようにいろいろ配慮はされていましたが、作業は人海戦術のためどうしても密にならざるを得ず、小刻みに休憩を入れての作業でした。
 総務の役員の先生にお聞きすると、一人でも感染者が出た場合には展覧会を含めすべてを中止する覚悟とかで望んだとのことでした。

 今年は、公募部門と役員作品とを合わせて総出品数2万8539点となりました。

 役員の作品の中で印象的だったものをいくつかご紹介します。
(今回は役員にのみ釈文に英語表記がされていました)

1.文部科学大臣賞 加藤 裕(評議員) 
「晏處超然」Detached Quiet Place(超然として安らかに居る)

極めて単純化された線質の印象です。

2.中野北溟(最高顧問)
「マハトマ・ガンジーの詞」Words from Mahatma Gandhi
(明日死ぬかのように生きよ、永遠に生きるかのように学べ)

役員の先生方はそれなりに特徴があり、見ごたえがありますが、中でも中野北溟先生は、書かれたガンジーの句のように、98歳というご高齢とは思えぬ迫力に満ちています。

3.片岡重和 
「雲間弧鶴」Crane between the clouds 

淡墨・一行でスマートに書かれていました。

4.薄田東仙
「剛者易折」The Strong One is Easy to Break

 老子の「剛者易折、柔則長存」を取り上げられました。

玄海社からは、三上栖蘭先生をはじめ、豊平峰雲先生が遺墨、加藤松雲先生・加藤双涛が審査会員で出品しました。

1.三上栖蘭(参与会員)
「西来祖道我伝東 釣月耕雲慕古風 世俗紅塵飛不到 深山雪夜草庵中」(道元禅師)

2.豊平峰雲 遺墨 
「龍飛鳳舞」

3.加藤松雲
「依然山郭與江楼…」 (王漁洋)

4.加藤双涛
「大雅久不作…」(李白)

当会入賞者作品につきましては、第2弾でご報告いたします。

また、東京五輪を伝統文化推進の立場から応援する企画展「現代日本の書選抜展示」が同時開催されました。こちらでは毎日展7部門の60歳以下(選考当時 )から選抜された若手作家30名の大作が楽しめました。

その中から一点 金敷駸房「龍虎之勢」を紹介しておきます。

サイズ:294×297(cm)

加藤 双涛
娘とカミさんに手をひかれて書道参り、なんと40年。
古文字に魅せられて、絵のような書に迷っています。

書道玄海社常任理事・審査会員|毎日書道会審査会員|東方書道院同人|現代書作家協会臨書部審査員|書道玄海社秋川支部長|双胤会主宰|SOTO書道会主宰|文字文化検定委員