お知らせ詳細

書道玄海社幹事 幸喜石子の初個展 『水茎の跡展』が、沖縄県立博物館・美術館県民ギャラリーにて 2021年3月24日[水]〜28日[日]
まで開催されました。

玄海誌に寄せられたご本人の手記と主な作品を紹介させていただきます。
『水茎の跡展』を終えて 幸喜石子
この度、初の個展を沖縄県立美術館・県民ギャラリーの二室をお借りし開催致しました。
今回の個展は「水茎の跡」「我逢人」「玄冬青春」「朱夏白秋」と言う四つの言葉をもとに構成し、私の書道人生の一端を垣間見て頂くというものでした。
「水茎の跡」という言葉は幼かった私に鮮烈な印象を残しました。自分の筆の跡を大切に、という小中学時代の恩師青木肇先生のメッセージでした。そして、私を慈しみ育てて下さった多くの方々と出逢いがなければ今の私はいないという思いで、禅の言葉「我逢人」、「玄冬青春」で幼い私が学びの場を与えられ、書のさまざまな知識、技術を得ることが出来、「朱夏白秋」で書を通して自分自身を表現することが出来るようになって来たとの思いで、二室を「玄冬青春」「朱夏白秋」の空間と致しま。
まず第一室の導入として、「我逢人」私の文字との出逢い、「私の原点いろは歌」を展示し、各壁面(三面)の中央に楷行草の千字文(二尺 × 八尺の四幅)、残った空間に学びの順として楷行草の臨書作品、峰雲先生に指導して頂いた公募展作品を入れ、時系列で展示致しました。そして一室中央に私のベースと思っている学生時代からの学び、趙孟頫の老子道徳経(巻子)、沖縄に来て一から学び始めた和歌の散し書(折帖)を机上陳列致しました。
二室目は各壁面中央に、故郷への思いを込めて山桜の歌四首、現在の私の心境「如蓮花在水」、橘曙覧(あけみ)の独楽吟八首を配置し、残りの空間に萬国津梁鐘銘文、写経、万葉集より大字、中字仮名作品、机上に徒然草春の段を書いた巻子等、全四十五作品の展示でした。
多くの方々が御自身の人生と重ね合わされ、「あなたの個展に癒されました。」とのお言葉を頂きました。愛知県からも姉夫婦が駆けつけてくれ、コロナ禍の五日間でしたが、七百二十八名もの方々に見て頂くことが出来、感謝の日々でした。
三上先生を始め玄海社の方々からもお祝いのメッセージを頂き嬉しいかぎりでした。峰雲先生のおかげで出会えた玄海社の皆様と、共に学ぶことの喜びをかみしめております。深奥な書の道、これからも精進してまいります。今後共御教導賜りますようよろしくお願い致します。

未来の見えない混沌の暗闇、大地に埋もれていた種子が導かれ、芽を出し、青々と茂る春を迎える

人生の盛り、燃える朱色の夏、そして秋、澄み切った秋空の境地にいたる

人と会うことから全ては始まる


